【千葉】古民家ゲストハウス「びろえむ邸」で喜びのカケラ見つけた話。




 

先週末、田舎フリーランス講座の中の農業体験をするワークショップがあった。
仲間5人と千葉県南房総市にある「びろえむ邸」に、一泊二日で宿泊してきた。

むちゃくちゃ良くて、めちゃめちゃリフレッシュ出来た。

 

びろえむ邸

千葉市から車で1時間30分。
金谷からは車で40分の場所にある。

オーナーは、大山宏子さん(以下びろさん)という若く綺麗な女性だ。

有機農業の傍ら、自宅の古民家でAirbnbを介してホストをしている。

一泊4000円〜
最大滞在人数は4名
(農作業との関係で宿泊受付出来ないこともあるそうです。)
問い合わせと全文はこちら。

photo by Shirai Mizuho

Airbnb内の自己紹介文抜粋

千葉県南房総市で有機農業を営みながら、築70年の古民家で猫と暮らしています。
広い土間や薪ストーブがあり、昔ながらの日本の生活が実感できると思います。
お味噌や醤油、米や野菜を自分で作っており、自給自足に近い生活をしています。
家の中に、流木で作ったオブジェがあり、森の中で寝ているような感じです。
木の下でくつろげます。

ドライフラワーが天井からぶら下がっていたり、窓にはセンスの良い布が掛けられていたり、びろさんの手によって温かみのあるアートな空間となっている。

 

この空間を生かして、音楽イベント等も行われている。

 

photo by Arai Shinji

photo by Arai Shinji

農業をする

私たちは、稲を刈るお手伝いで行った。
台風の関係で予定より早めに作業を終わらせていたらしく、稲は綺麗に刈られていた。
私たちは稲を干す作業と落ち穂拾いのお手伝いをした。

9月の初めだったが日差しがまだキツい。
農作業をしている時にも、気持ちが良い風が通り抜けていく。
有機農業だからか、カエルやコオロギや虫がたくさんいた。

photo by Shirai Mizuho

田んぼ畑が広がっている中の一反。
びろさんはこの場所の他に2つの畑を借りて農業をしている。

ここの集落は、びろさんの師匠であるじろえむさん(60歳ぐらいの方)の先代が有機農業を始められた。
その当時は時代の先端を行く考え方だったそうだ。

畑や家を借りることに始まり、この場所で農業をする上でじろえむさんにはかなりお世話になった。
「びろえむ邸」は、宏子さんのあだ名とじろえむを掛け合わせたものだ。

情熱だけを引っさげて、都会からやってきた女性に、なんとかしてやろうとした地元の人たちの協力があった。

 

photo by Shirai Mizuho

薪ストーブで作る温かい食事

 

photo by Arai Shinji

びろえむ邸では、ガスを使うのはお風呂だけで、料理は薪ストーブを使用している。
最初は薪ストーブの上にガスコンロを置いて料理をしていたが、せっかくだからと薪を使うことにしたそうだ。

お昼ご飯はびろさんの畑で採れた野菜を使って料理を作った。
味噌汁の味噌も麹から全て手作りだそう。

火を起こす班、野菜を切る班に分かれ、全員で食事の準備をした。

photo by Arai Shinji

火を起こす作業は手間がかかる作業だけど、火がついて、煙が出て、少しずつ暖かくなっていく過程を傍で眺めているだけで嬉しくなる。

 

photo by Arai Shinji

びろさんがAirbnbの中で、火と暮らすことを「ひぐらし」と表現していて面白い。

薪を使って火と暮らす、”ひぐらし”をしているので、

薪割りや薪ストーブの使い方を教えることができます。

 

みんなで作った食事は、温かく、みずみずしく、味もしっかりしていてとても美味しかった。

 

as it is あるがままに

農作業の後、一緒にお風呂に入った時だった。
上半身を晒して湯船に浸かっている彼女を見て、

「あるがまま」とはこういう事か、と思った。

私はガリガリなので、人前で裸になるのが好きではない。
自分の身体を「みすぼらしい」と思っていた。
しかし、わざわざ恥じることでもないのだな。

びろさんご自身が自然体で生きているから、傍にいるだけで感じ方が変わってくる。

 

農業に心が動いたきっかけ

私がびろさんに聞いた、びろえむ邸を始めるまでのきっかけの一つ。

20歳から29歳までは、都内の花屋で働き、それなりにシティライフを満喫していたそうだ。

ある時、都会の消費社会に疑問を持った。

大量に消費されて、大量に捨てられる物たち。
お店がするのは過剰包装で、物を買う度に買った物以上のゴミが出る。

「それっておかしいよね。」

心の声に従い、都会を去った。

 

そこに在る物たち

私がびろさんに最初に借りた物は、畑作業用の手袋だった。
穴が空いてるやつ。結構大きいやつが、3個ぐらい。

使い古されてボロくなった手袋が素敵な物に思えた。
穴が空いた手袋が新鮮に思える程、私自身も消費社会に生きる人間だった。

虫食い穴が開いた服、色褪せたジーンズ、縁が欠けた鍋蓋。
傷付いて破れて欠けて、捨てられていくような物たちが、この場所では使われて、暮らしをともにしている。

photo by Ogura Nozomi

びろさんが飼っている3匹の猫の中の一匹は、元は友人から預かっていた猫だったらしい。
預かっていた時、その猫が生死をさまようような大病を患ったので手術をさせた。
その後看病をしているうちに離れられなくなり、友人にお願いをしてそのまま引き取ったそうだ。

生き物も、物も、破れる度に、欠ける度に、更に情を掛けられているのだな。
そんなモノたちが置かれている空間は柔らかく優しい。
そんな優しさが広がっていけば、この世界はもっとよくなれる。

 

季節を感じる生き方

私は、会社員時代、基本的に朝8時前から夜の19時くらいまで会社の中で働いていた。
外出はほぼなく、自席はエアコンがよく効いたので真夏でも冬用の作業服を着ていた。

季節感がなく、最終出勤日、タンクトップ一枚で通勤のバスに乗ってきていた私は、帰り道の寒さにぶるっと震えた。
周りの人は薄い羽織物を着ていた。
いつの間にか、夏は過ぎようとし、秋が近づいていた。

バス停でお月さまを見上げながら、

「これからは季節が感じられる生き方をしよう」

そう思うだけで心が躍った。

「こうあらねば」「周りに合わせねば」
道から外れないような生き方をしてしまっている人は、この場所に来てみて欲しい。

風に吹かれて、
太陽の光を浴びて、
土に触れて、
火を起こして、
煙に巻かれて、
猫を撫でて、

過ごして欲しい。

 

命が喜ぶことをする

びろえむ邸には、酒場と見まごうほど酒瓶がずらりと並んでいる。すべて中身が入っている。
最初、夜はバーを営業されているかなと思ったが、
友人がお酒を持って来てくれてよく一緒に飲むそうだ。

その日の深夜、近所のバーで働いた後のびろさんとメンバーたちで、そのお酒を戴きながら話をした。

びろさんは、早ければ今年中にハワイに移住する予定で、今は後継者を探しているそうだ。
理由は下記通り。

「ふと思ったんだよね。ハワイ行きたいって」

ハワイで、ここのように農業をしながら宿泊施設を作りたい。
自分の感覚を何より大事にしているびろ流の在り方である。

「お金の不安がないかってよく聞かれるんだけど、今もお金はないよ。
ここに来た時にも0万円しか貯金なくて、師匠に「その度胸だけは買ってやる」て言われてさー」

笑顔で淡々と話す。

「自分が心からやりたいと思ってやってることだったら絶対なんとかなるものなんだよ。
五体満足なんだからさ、いつからでも何でも出来るよ」

なんとかなって来ている人が目の前にいる。
その人がこれから異国で0から始めようとしている。

いろんな言葉を聞いたのだけれど、私がここに来たのはこの言葉を聞くためだったのだなと、心に刺さったびろ名言でこの記事を締めくくろうと思う。

 

「命が喜ぶことをすることだよ」

 

命が喜ばない事を捨てて、私は金谷に来た。

答えはまだ見つかっていないけれど、びろえむ邸には命が喜ぶカケラがあって、

私はそれを拾った気がする。

 

 

びろさん

photo by Arai Shinji

 

photo by Shirai Mizuho

 

photo by Ogura Nozomi

 

写真提供:

白井瑞穂(Shirai Mizuho)   /  Brog

新井紳地(Arai Shinji)         /  Brog

小倉望未(Ogura Nozomi)  /  Brog




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